続編は我が家の本箱にありました。
本編、続編と続けて読み終えました。
前回のを読むと”おもしろい”の感想しかないので、今回は内容も少し紹介したいと思います。
本編の書き出しは
話は昭和の初期にさかのぼる。
で始まります。 昭和元年は1925年になる。
今年は2021年なので、約100年前の話なのであります。
主人公の旗謙介は、東京で囲碁棋士を目指し修行中に賭け碁を打って破門になり、故郷九州の久留米に戻り、歯科医の書生をしてました。
そこの院長が囲碁好きで、その縁で名賭け碁師 名倉兵作と知り合い、賭け碁師家業に入っていきます。
一般市民の知らない”賭け碁”の世界、いわゆる裏稼業における人間模様が描かれています。
幾つかの経験を積み、一人前に成長していく中に、本筋を外れた悲哀もあります。
そして、第2次世界大戦へと時代がかわり、謙介は徴兵されるところで本編が終わります。
続編は、次の文章で始まります。
敗戦の翌年の三月、肌寒い風が吹く日の午後、東京杉並堀の内の妙法寺参道は闇市でにぎわっていた。
……………..
十五年も前に、棋士修行をやめて九州に渡り、賭け碁打ちとなった旗謙介のその後の姿だった。
上の文章は、主人公が復員して、亡き戦友に託された遺物をその妻に届けるために上京したところです。
本編は九州での出来事でしたが、続編は東京、九州を舞台にした物語になります。
賭け碁には大型定石とうか、ハメ手というか、単純ではない定石がでてきます。
ハメ手とは、手数が長く、最善を尽くせば互角に分かれるが、途中で間違えると大損というような、怖いものもあります。
賭け方も、1局の勝敗でいくらというのと、負け数で1目いくらといういわゆるメ碁あります。
碁は同じような棋力でも、大石が死んだりしたら50目負けとかになるので、メ碁の場合、賭け金が大きくなることがあります。
また、賭け碁の場合、手合いが問題になります。互角になるような手合いが公平なのですが、いかに自分が有利になるようにするかが、勝敗に大きく影響します。
今思えば、かなり昔の物語ですが、あっという間に読んでしまいました。
囲碁を知らないと、分からないということはないので、読んでみてはいかがでしょうか。
囲碁小説の中では一番の押しです。
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